『ローラのおでかけ』
「ローラちゃーん したく できたー?」
「はーい もう ちょっとー」
ローラは パパとママといっしょに おばあちゃんのいえに いくところ。おばあちゃんの家には おおきな犬がいて
広いおにわもあって 小さな池には 金魚もたくさんおよいでいてそれから それから……とにかく ローラは おばあ
ちゃんの家にいくというと はりきって 「じぶんでお洋服えらぶ!」と言ったのでした。だって ローラはもう 六さい。
大好きな絵本のエロイーズだって、じぶんでお洋服をえらぶ としごろなのですから。
「ローラちゃーん まだですかーー」
「はーい ただいま もうすこし」
あれにしようか こっちにしようか……
ローラは あれこれ だしたり きてみたり しているうちにもうすっかり あたまがこんがらがってきて ほっぺたの
あたりがかーっとあつくなってきてしまいました。 すると「そとの太陽を ごらんなさいな! そしたら まようことなく
あたしがいちばんよ」。そう いったのは 白い木綿のワンピース嬢。すると「そらきた。あの太陽とやらが 一日中
あんなにカンカン照っているものかしらね。おひさまだって ちっとは休みたいでしょうよ」と負けずに 言い返したのは
ピンク色の麻のワンピース嬢。彼女は「よごれたらたいへん」という理由で なかなか ローラちゃんに着てもらえない
のが たいへんにご不満の様子。「よそへ いくときによそいきを着ないで いったい いつ着るというの?」と、なんだか
少々おこりはじめているようです。
「あーら ローラちゃん よそいきをきたら おばあちゃんちの犬のトコちゃんとあそんだり 池の金魚たちとおはなししたりするの
できないわねえ」と木綿のワンピース嬢。「あたしなら しょうしょうよごれても すぐにおせんたくしてもらえると思うけど」
「あら、おばあちゃんが ピンクのよそいきをだいすきなこと ローラちゃんならよくしっているでしょう」麻のワンピース嬢も
負けてはいません。「それに ローラちゃん きょうは ピンクの靴をはいていくんでしょう?それなら おようふくも あわせた
方が いいんじゃありません?」
「あなたのセンス ふしぎですわ。ピンクの靴には 白が合うに きまっているじゃあ ありませんか」
なんとか 自分を 着てもらおうと 必死のワンピース嬢たち。二人のいうことは それぞれ ただしいように思えるし いったい
どちらにしたらいいのか ローラちゃんは ますます あたまがこんがらがってきてしまいました。
すると そのときバタンとドアがあいて、「おやまあ! まだおようふく着てなかったの? パパが車の中でずっとまっているって
いうのに!」とまんまるい目をして ママが入ってきました。
「あらあらあら こんなに散らかして。ほら、これをきて、はやくなさい。これももっていくのよ。ほら、はやく! 靴をはいて。は!や!く!」
---ついに やっぱり ママの「は!や!く!」が出てしまいました。
こうして ローラちゃんは 木綿のワンピースを 手早く着ると かばんの中に よそいきの麻のワンピースをつめこみ ママに手を
ひっぱられるようにして バタバタバタと 出ていきましたとさ。
ん? それとも、麻のワンピースを着て、木綿をカバンにつめこんだのだったか……?
どちらでも おなじことですね。
初めてひとりでお洋服をえらぼうとして たいへんに 時間のかかったローラちゃんのおはなしです。