「りんごカフェー」
みつばちぼうやがハチミツをせっせと集めていますと、そこへしゃくとり虫のリンダがやってきました。
「こんにちは、せいがでますね」
「ああ、こんにちは!」花びらから頭をひょいとのぞかせたみつばちぼうやの頭は、金いろの花粉でいっぱい。
「わあ、すてき。あ、そうだ、いいこと思いついた。ねえみつばちさん、よかったらその金粉をひとさじわけてくださらない」
「あ、いいよ!」ブーンと地上に降り立った親切なみつばちぼうや、あたまをブルン!とひとふりすると、
しゃくとり虫の買い物かごの中へ、キラキラ光る金粉をどっさりこぼしてやりました。
「ありがとうございます。じつはわたくし、このたびローズ通りの方で、カフェーをオープンしますの。それで、
内装に少しばかり使わせていただこうと思いつきましたの」
「へえ、カフェーか。なんて名前なの?」とみつばちぼうや。
「りんごの家を改築するので、りんごカフェーと申します」しゃくとり虫は澄まし顔でこたえます。
「わかった。ローズ通りの『りんごカフェー』ね。ぜったいいくからね!じゃ! よい一日を!」
そう言うと、仕事熱心なぼうやはいそいそと飛んでいきました。
「ええ、ありがとうございます。きっとお待ちしていますよ。あなたもよい一日を!」
みつばちぼうやと別れて、しばらく歩いていたしゃくとり虫のリンダ、ずいぶんたってから、はたと立ちどまりました。
「そうだ、あたしったら、みつばちさんのところへ、はちみつを買いにきたんだったわ。あたしったら、なんてうっかり者な
んでしょう」と、来た道をあわてて戻っていく途中、うまいぐあいにみつばちぼうやとすれちがい。ぼうやは息をきらして、
「あ、よかった。今からちょうどカフェーに行くところだったの。ほら、オープン記念にはちみつをもってきたよ」
「エエッ!?」おどろいたリンダは、すってんころりん……
なんともせっかちで、気の早いみつばちぼうやと、のんびりやのしゃくとり虫のおはなしです。
さあそれではわたくしたちも、いつかはわからない「りんごカフェ」の開店を、みつばちぼうやと共に心待ちに
することにいたしましょう!
(第三話・fin)