輸入手芸材料店【プチコパン】にようこそ!ボタン、アップリケ、ハンガリー刺繍の材料などいろんな国から直輸入の手芸用品をお届けします。

 

第三十三話:『地上におりてきたツィギー』

 九ヶ月ぶりに故郷へ帰ってきたツィギーは、葡萄色の目をしっかりと プッピンにぬいつけてもらいました。そして端切れのほつけたところを つくろってもらったり、新しい端切れ(なかには銀いろの繻子も混じって いました。それはプッピンの「とっとき箱」から思いきって取り出され たものです)と交換してもらったりして、すりきれた肩のあたりには、 11月の空のように濃い青色のマントーまで縫いつけてもらったものですから、 ツィギーはまるで、空からおりてきたどこかの星の王子さまのような風情 になったのです。
すっかり新しくなったツィギーをともなって、一同は魔女子さんの家に 向かいました。いつぞやチューリップかクロッカスのような花型の とても素敵な新式の飛行機を製作していた魔女子さんは、今度はガラスの ように透明な球体の乗り物を思案しているようでした。むろん図面の上でです。
「しゃぼん玉みたいだね」スマッフィーがいいました。
「ええそう。浮力や揚力の計算を重ねた結果、この形にたどりついたんです」
 魔女子さんはあまりに熱心に図面を見ていたので、ひさしぶりの友だちが そこにいることに気づきませんでした。ひさしぶりの友だちは言いました。
「でもこれでは抵抗力がありすぎはしませんか」
 魔女子さんはびっくりしてツィギーを見ていましたが、すぐに澄ました顔を して言いました。「では助手として手伝ってくださいな」
「仕事をとちゅうでほってしまわないと約束するなら、ここにいてもいいですよ」 とつけ加えるのも忘れずに。
 それで、ツィギーと魔女子さんの二人は、今でも飛行機の研究をしていると いうことです。

(おしまい)

 
 おはなしtopにもどる  
 
  プチコパンtopにもどる