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第十二話:『ポッペンの落ち葉ひろい』

 公園には大きな手のひらほどもある真っ赤なカシワの葉や 金いろのイチョウの葉などがもうたくさん落ちていて、夕刻 が近づいているのにあたりを明るくみせていました。
「シミがなくて、かわいていてきれいなのをとってきてね」 とプッピンにいわれたとおりの葉っぱを、ポッペンはいちま いいちまい丹念に選んで収穫していたのです。その葉っぱは いったい何に使うのかといえば、ただ家にもちかえって、壁に ピンでとめておくのでした。大きな葉や小さくて細長い葉、緑 の斑点がところどころ浮かびあがっている葉、ひとつとして同 じものはない葉っぱたちをそのままピンで白い壁中にたくさん 張っておくのが、いつとはなしポッペンとプッピンのきまりご とになっていたのです。もっとも、紅葉した葉っぱはあっとい うまに乾燥して、パリパリになってしまうのでしたが……
 「このくらいでいいかな」やぶれないように、そっと袋の中 に葉っぱを入れて帰ろうとしたポッペン、なんとはなしにその 場を去りがたく、ついポケットにしのばせていたペンをとり、 すべすべした葉っぱの裏に何やら書きつけました。
「三時のお茶会にぜひ来てください。ポッペンとプッピンより」
その葉をどこに置こうかと迷っていると、そのときサーッと風 がふいてきて、手のひらの上の葉っぱをどこぞへとクルクル運 んでいってしまいました。しばらくカサコソと葉のこすれる音 がしました。それからあたりはまたしんとなりました。
「さあ、もう帰ろう。プッピンが待ってるよ」おいしいシナモ ンアップルティーのことと、運がよければプッピンがつくって くれているであろうビスケットのことなどを考えながら、ポッ ペンはこうして家路をたどっていったのです。あの招待状を誰 かが見つけてくれるといいのだがなあ、などと思いながら。

(おしまい)

 
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