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第十四話:『クリスマスツリーのオーナメントの話』

 ポッペンが外を歩いていますと、道ばたに星がひとつ落ちていました。
「これはちょうどいい」ポッペンはうれしさのあまり、星をよく調べも しないでポケットに入れました。そして家に帰ると、クリスマスツリー のてっぺんに星をぴたりと飾ったのです。
「まあすてきなオーナメント! どこで仕入れてきたの」
 プッピンは目をまるくしています。
 どういうわけか、クリスマスツリーのてっぺんに飾るオーナメント だけが、いつも行方不明になってしまうので、かわりにプッピンが星型の クッキーを焼くことになっているのです。
 シナモンとマジパンのいい香りが、すでにキッチンからは漂いはじめて いたところでした。
 ポッペンとプッピンの家のクリスマスツリーといったら、それはもう、 ほんもののもみの木そっくり。ビニールと針金と紙テープでできた ほんものです。きれいな包装紙で包んだマッチ箱ほどのプレゼント飾りや、 棒あめや、プッピンが布の端切でつくったトナカイやサンタクロースなど もぶらさがっています。もちろん、雪のように白いパンヤもたくさん、 あちこちにふりつもって……
 さて、夜になったのでライトをつけると、ツリーに燦然とイルミネーション が灯りました。「あっ、星がない!」
 さっきまでちゃんとてっぺんに飾られていた星、ポッペンが道ばたで ひろってきた星がありません。はっと思って、窓から顔をだすと しっとりしたインク色の空にはもう、ダイアモンドがいくつかきらめいて います。「去年もたしか、同じことがあったっけ……」
 去年ばかりではありません、ツリーのてっぺんの星が消えてしまうのは。 そして、窓をあけるとお空一面に、まるで笑っているような星たちが こちらをみおろしているのは。「よく焼けたよ」プッピンがそういって オ−ブンから焼きたてのクッキーを出してきて、その中で一等きれいな形 をした星型のクッキーをてっぺんに飾るのも。みんなみんな、いつもと同じ できごとです。こうしてクリスマスは、毎年決まった日にかならず どこのうちにも訪れるのです。

みなさんもクリスマスオーナメントの紛失にはくれぐれもご用心を!

(おしまい)

 
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